第73回テーマ ARCHITECTURE FIRMS IN THE AGE OF AI,THE MEASURE OF ARCHITECTURE
設計事務所経営勉強会「創成倶楽部」第73回を開催しました
2026年7月18日(土)、代官山のヒルサイドウエストを会場に、設計事務所経営勉強会「創成倶楽部」第73回を開催いたしました。
今回の全体テーマは、
ARCHITECTURAL DESIGN FIRMS IN THE AGE OF AI: Humanity, Place, and Time
AI時代の建築設計事務所:人間性・場所性・時
でした。
AIによって建築設計事務所の仕事が大きく変わろうとする今、人間にしか担えない価値とは何か。場所と向き合い、時間を超えて残る建築を生み出すために、設計事務所はどのような方向へ進むべきか。
AI時代の設計事務所経営と、建築の本質について考える一日となりました。
イントロダクション講義
AI時代の建築設計事務所

冒頭のイントロダクション講義では、弊社代表・窪田順司より、AI時代の建築設計事務所に求められる取り組みについて解説しました。
講義では、設計事務所が今後取り組むべき事項を整理した「30項目のチェックリスト」を紹介するとともに、AIに置き換わっていく可能性が高い業務と、構造的に人の役割として残りやすい業務を整理しました。
さらに、それらの変化がどのような時間軸で進んでいくのかを示しながら、AI時代において、どのような設計事務所が選ばれ、生き残っていくのかをお伝えしました。
AIを単なる業務効率化の道具として捉えるのではなく、設計事務所のあり方や提供価値そのものを見直す機会となりました。
情報交換会
参加各社による情報交換会では、今回のテーマに関連して、各事務所が現在利用しているAIツールや具体的な活用方法を共有していただきました。

AIの活用範囲や習熟度には事務所ごとに大きな違いがありましたが、情報収集、文章作成、画像生成、議事録作成、提案書の検討など、それぞれの実務に即した活用事例が紹介されました。
各社の取り組みを知ることで、今後の業務効率化や提案内容の高度化に向けた可能性を感じられる時間となりました。
また、最近の竣工作品やプロポーザルの当選事例についても複数の報告があり、参加者同士が互いに刺激を受ける有意義な情報交換となりました。
特別講演
槇総合計画事務所 亀本ゲーリー氏
特別講演では、株式会社槇総合計画事務所代表取締役の亀本ゲーリー氏をゲスト講師にお迎えし、
THE MEASURE OF ARCHITECTURE: Humanity, Place, and Time
建築の尺度:人間性・場所性・時
をテーマにご講義いただきました。

槇総合計画事務所では、海外のプロジェクトにおいては日本の建築文化や価値観を伝え、国内のプロジェクトでは海外で培われた知見や建築文化を取り入れることを意識されてきたとのことでした。
講義では、ヒルサイドテラスをはじめ、泉北考古資料館、スパイラル、鳥取県立美術館、盛岡動物病院、4 World Trade Center、Singapore Land Tower、BLUE FRONT SHIBAURAなど、国内外の数々の事例をご紹介いただきました。
それぞれの建築に共通していたのは、建築を単体で完結させるのではなく、周辺環境や都市との関係を丁寧に読み解き、より良いコミュニティを育む場をつくろうとする姿勢です。
その思想は、槇文彦氏が示した
“Street as a civic room”
という言葉にも表れています。
街路を単なる移動空間ではなく、人々が集い、交流し、社会的な関係を育む「都市の部屋」として捉える考え方は、槇総合計画事務所の建築に一貫して流れているものだと感じました。
槇総合計画事務所の見学
講義終了後には、槇総合計画事務所をご案内いただきました。
事務所内には、現在進行中のプロジェクトに関する模型や資料が数多く並び、都市レベルの大きなスケールから、建築、空間、家具、そして1分の1のディテールへと、段階的に解像度を高めながら設計を深めていく過程を拝見することができました。
デジタル技術が進化した現在においても、手を動かし、模型をつくり、空間を確かめながら思考を積み重ねていく姿からは、ものづくりに対する誠実さと温かみが伝わってきました。
講義の中では、「木」を題材とした、次のようなお話もありました。
一本の木が、その木らしい姿を成すまでには、長い歳月を要する。
人の人生も同じように、その人のかたちが見えてくるのは、時を重ねた先のことである。
建築もまた、完成した瞬間だけで評価されるものではありません。人に使われ、地域に受け入れられ、長い時間を重ねていくことで、本来の価値が表れてきます。
ご講義によれば、創業以来約60年間に設計された145作品のうち、取り壊されたものは、わずか8作品とのことでした。
建築をつくる側が、使う人に長く愛着を持ってもらうことに力を尽くしてきたからこそ、多くの作品が今も大切に使われ続けているのだと思います。
人間性、場所性、そして時。
亀本氏のご講義を通じて、建築の価値を測る「尺度」とは何かを、改めて考える機会となりました。
懇親会
懇親会は、旧山手通り沿いのイタリアンレストランにて、亀本社長と槇総合計画事務所のスタッフの皆様にもご参加いただき開催しました。

講義内容をさらに掘り下げながら、槇文彦氏にまつわるエピソードなど、ここでしか伺うことのできない貴重なお話も共有していただきました。
参加者同士の交流も一層深まり、講義、事務所見学、懇親会を通じて、創成倶楽部ならではの学びと出会いに満ちた一日となりました。
おわりに
ご講義ならびに事務所見学に多大なるご協力をいただきました亀本ゲーリー社長をはじめ、槇総合計画事務所の皆様に、改めて心より御礼申し上げます。
また、ご参加いただいた皆様にも厚く御礼申し上げます。
創成倶楽部は今後も、設計事務所経営の未来を考え、実践につながる学びと新たな出会いの機会を提供してまいります。
今回ご参加いただけなかった皆様も、ぜひ次回の創成倶楽部にご参加ください。
次回のご案内
第74回 設計事務所経営勉強会「創成倶楽部」
開催日
2026年9月11日(金)
会場
赤坂インターシティコンファレンス(東京都港区)
ゲスト講師
E-DESIGN
代表取締役 忽那裕樹氏
大阪・関西万博をはじめ、国内外で数多くのランドスケープデザインを手掛けてきたE-DESIGN。
建築と庭、都市と自然、空間と人の営みを一体として捉える「庭屋一如」の思想を、これからの建築や都市にどのように実現していくのか。
ランドスケープの視点から建築と都市の未来を考える、貴重な機会となります。
詳細は改めてご案内いたします。
多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
ご参加をご希望の方は、下記よりお申し込みください。
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