これを見てから設計して欲しい
今朝は、空港で札幌の設計事務所の所長と待ち合わせをして、某市の新庁舎の公開プレゼンに向かいました。
会場には、予定では50名の定員と言いながら、100名超は着席できていたと思いますし、市議の皆様の席も用意されている点は良かったと思います。
これで一般市民の方々がもっと参加されていると良いのですが、関心があっても足を運ぶまでには至らなかったのでしょう。残念です。建設予算や建設プロセスにもっと市民がかかわれるとよいですね。
プロポーザルコンペなので、プロポの開催要項にも当日の説明でも、「設計案ではなく、設計者を決める」という趣旨の説明がありました。
しかし、発表者は、会社名も統括責任者の名前も伏せて行われました。これでは、その事務所や担当者の素生も実績もわからないので、提案の背景もわからないのではないかと思います。
さらに、会場内に各社の提案書は掲示されていましたが、本提案に対する想いなど取組み姿勢や態勢、特徴などは、ほとんど示されていませんでした。
プレゼンの内容もその大半が設計案に関する説明であり、質問もその案に対するものばかりでした。
地元の設計者とチームを組んで取組むのであれば、その地元の設計者とは誰で、どんな共同チームの相乗効果が生まれるのか?そのメンバーは当該市内に実績があるのか?それは、喜ばれているのか?当該市の市民なのか?これまでの実績の中で、どの地域の特性を踏まえて、どんなアレンジやチャレンジをするのか?機能性を最重視し、冒険せず、地味にコンパクトにつくっていくのか?そんな話をもっと聞けたら良かったです。
審査が終わり、車で所長おススメの建築を見学に向かいました。
「黒石ほるぷ子ども館」設計 菊竹 清訓 氏
築42年が経過してもその佇まいは凛として、
使われ方は多少変わっても、
環境にやさしくパッシブで、それでいて、40年前なのに、当時の最新技術としての床暖房が設置されていたり、
家具も細かく設計され、
DENなどわざわざ作らなくとも、
使う側の自主性が尊重され、
いまだに80キロの大人が登っても壊れない丈夫さがあり、
楽しい空間が広がり、
それでいて社会的な振る舞いも教え、
地域の人に愛され、守られ、
地域を象徴し、子どもたちの更に豊かな発想を生み出し、
残り続け、
美しく、愛らしい、
そんな建築を創れる人を選んで欲しいと思います。