結論から申し上げます。
はい。ブルーオーシャンは確実に存在します。

ただしそれは、「競合がいない市場」という意味ではありません。
設計という専門知の組み合わせ方と特化の深度によって、
一定期間、競争優位を築ける領域が生まれる
それが設計業界におけるブルーオーシャンの本質です。

1.過去に存在したブルーオーシャン
設計事務所業界を俯瞰すると、
時代ごとに明確な“専門特化型ブルーオーシャン”が出現してきました。
いくつかご紹介すると、
① 集合住宅特化
土地活用ブームの中で、
・容積消化ノウハウ × 事業収支設計 × デベロッパー連携
を武器にした集合住宅特化型事務所が急拡大しました。
ここで重要だったのは、意匠力以上に「事業成立力」です。
金融機関との関係構築、事業スキームの理解、収益性の説明能力。
建築設計というより“不動産事業プロデュース”に近い機能が差別化要因でした。
② 遊技場(パチンコ)特化
1990年代、遊技場専門の設計事務所が一気に台頭しました。
・短工期
・高収益
・ド派手な空間デザイン
・ブランド店舗展開
まさに商業建築のスピード勝負型ブルーオーシャンでした。

    しかし現在は、ゲームアプリ、オンラインカジノ、娯楽の多様化により市場は縮小。
    かつてのブルー領域は、構造変化により衰退しています。

    ③ 介護施設特化
    高齢化社会の進展により、
    ・プランの規格化 × 設計効率化 × 公募申請サポート付加
    というモデルを確立した事務所は、一時代を築きました。
    人口減少社会の中で、「高齢者の増加」という逆張りの
    成長市場に乗ったブルーオーシャンでした。

    しかし現在は、
    ・事業者の乱立
    ・事業者の収益性の低下
    ・建設費高騰
    により、選別の時代に入っています。

    ④ 医療施設(病院・クリニック)
    医療制度改定や開業ラッシュの波に乗り、
    ・医療動線設計 × 補助金対応 × 収支モデル理解
    を備えた事務所が専門分野を確立しました。
    病院は組織設計事務所型、クリニックは小規模特化型と二極化し、
    いまなお専門性の強い分野です。
    医療は、複雑な導線と専門診療科目の設備理解という「業界理解」が鍵となるブルーオーシャンでした。

    ⑤ インフラ大型施設(清掃工場・水処理施設)
    公共発注 × 技術要件高度化により、
    限られたプレイヤーのみが参入できる領域が形成されました。
    高度な技術力と実績が参入障壁となる典型的な技術特化型ブルーオーシャンです。
    現在で言えば、
    大規模データセンターが近いポジションにあります。
    高セキュリティ・電源設計・空調計画・BIM統合など、
    技術統合型の高度専門分野です。

    2.市場転換による新ブルーオーシャン
    特に注目すべきは、用途転換から生まれるブルーオーシャンです。
    ① 結婚式場 → 葬儀場転換
    少子化・非婚化で婚礼市場が縮小する一方、
    高齢化により葬祭市場は拡大。
    施主が同一法人であるケースも多く、
    ・既存建物の活用
    ・動線再設計
    ・家族葬の多拠点展開(コンビニ型モデル)
    という新しい市場が生まれました。

      用途転換 × 事業転換 × 空間再解釈。
      これは典型的な構造変化型ブルーオーシャンです。

      ② 既存建物活用(リノベーション・用途変更)
      スクラップ・アンド・ビルドから、
      ストック活用へ。
      既存建築物を現行法規に適合させ、
      新たな機能に更新し、再生させる。
      青木茂建築工房 が提唱する「リファイニング建築」は、
      その象徴的存在です。
      ・法規読解力 × 詳細な現場調査 × 構造再評価 × 収益再構築。
      単なる改修ではなく、
      建物の再定義こそがブルーオーシャンでした。

      3.なぜブルーオーシャンはレッド化するのか
      重要なのはここです。
      ブルーオーシャンは永続しません。
      典型的なプロセスは以下です。
      供給能力不足
      → 他社参入
      → 模倣拡大
      → ノウハウのコモディティ化
      → 価格低下

        さらに、
        所員の独立・転職によるノウハウ流出
        建設コスト上昇による施工会社主導構造への転換
        が起こります。

        結果として、
        かつてのブルーオーシャンは価格競争型レッドオーシャンへ移行します。

        4.現在も存在するブルーオーシャンの兆し
        いま注目されるのは、
        生産施設(工場)・物流施設特化
        製造業の再投資、DX化、省人化、補助金活用により、
        生産動線設計 × 事業計画支援 × 補助金コンサル統合型設計
        が成立しています。

          これは単なる設計ではありません。
          経営伴走型設計です。

          設計者が経営課題を理解し、
          事業成立まで支援する。
          ここに新たなブルー領域が生まれています。

          5.ブルーオーシャンとは何か
          結論として、
          ブルーオーシャンは一時的に存在するが、
          時間とともにコモディティ化し、
          やがてレッドオーシャンになる。

            しかし重要なのは、
            専門特化を増やし続ける事務所もあれば、
            レッドオーシャンとされるマンション分野で、
            生産性革新により“新たなブルー”を創る事務所もある
            という事実です。

            ブルーオーシャンは
            用途にあるのではなく、構造にある。
            設計 × 経営 × 制度 × 事業モデル
            その掛け算が変わる瞬間に、
            ブルーは生まれます。

            ブルーオーシャンを見つけたい方。
            レッドオーシャンの先を見たい方。

            いつでもご連絡ください。
            私たちは、その挑戦を応援いたします。

            お気軽に電話番号03-5797-7335もしくはE-mailにて、