開業する際、会社名(事務所名)の付け方は重要です。

明日の勉強会の出席者一覧を見ても様々な事務所名があります。

こちらの設計事務所は、名前で随分と損して来られただろうな、逆にこの事務所名は大いに得をして来られただろうなぁ、いい名前だなぁなどと思いに耽ってしまいます。

社名を付ける段階で、マーケティングのセンスが問われるのです。

そこで、その社名を決める・変更する際のポイントを改めて、述べてみたいと思います。

一般的に会社名を決める際は、次の4つを軸にされると思います。

1.事業ドメイン、2.創業者名、3.地域名、4.理念です。

1.事業ドメインが分かりやすいこと
設計事務所の場合は、設計と言う言葉が含まれている方がよい。
この理由は、大きく2つあります。1つは、顧客視点から自社の事業ドメインとして、何を主な商材としているかがわかりやすいからです。そして、2つ目は、自身の事業がどこに主軸を置き、そこからブレナイ経営をする上でも、その拠り所となります。
さらには、結果として、インターネット上で検索された際にヒットしやすいというおまけも付いてきます。

続いて、2.創業者名です。
もっともポピュラーで覚えてもらいやすい無難な社名は、「経営者の名前」+「設計」となります。

ちなみに、やってはいけない、やらない方がよいこと1つに、覚えにくい、呼び難い社名は付けないことです。

せっかく、付けるんだから、そんなありきたりなのは嫌だ。その気持ちもわかりますし、そんなチャレンジ精神溢れる方も好きです。海外留学中に好きになった女性の名前(今の奥さんであれば、GOOD!フラれた場合はNG)、留学先の地名や特に意味はないが音が好きな外国語の単語をカタカナ変換したものなどです。成功のしやすさだけから考えると困難を伴いやすいと言えそうです。

また、よく長い社名は避けた方が良いと言われたりもしますが、そんなことはありません。

設計事務所に多いのは、先にも挙げたように、株式会社窪田順司建築設計事務所という個人名+事業ドメイン(設計事務所)です。
これは、結局のところ、お客様から略称として、窪田設計と呼ばれますし、創業者としてのフルネームを覚えてもらえる可能性が高いので良いと思います。最初から発音しやすいからと言って、短いものを使用するのは、得策とは言えません。
また、先のインターネット検索でのヒット率は、短くすると期待しにくくなります。

また、インパクトのある会社名も良いと思います。

例えば、一番設計株式会社なんていうのも良いかも知れません。

電話に出る時は、「はい、一番設計です。」

何か、期待できそうな気分にさせますよね。

さて、3.地域名の代表格と言えば、日本設計、北海道日建設計でしょう。他の業界であれば、地域名が付くことが多いのですが、設計事務所は営業範囲が各都道府県単位やそれ以上に広範なことと、さらには、徒弟制の中で先に地域で事業を始めている先輩を差し置いて地域名を冠に付け難かったのではないかと思います。

そんなことを言うあなたの会社は、創成窪田株式会社という分かり難い社名じゃないかと思われるかも知れません。
確かに上記の内容から言えば、創成窪田コンサルティングや窪田設計事務所コンサルティングなどを付けるのが一般的です。しかし、この社名は、お墓の配置から子どもの名前はもちろん、引越しの日や開業日、さらには車のナンバープレートの番号まで助言していただいている方に付けていただいた非常に縁起の良い社名です。

結果として、ともに成長し、成功を創造することを窪田が責任を持ってやる会社として気に入っています。

このように変わった社名にすると、「なぜ、その社名なのか?」聞かれることがあります。感心や驚きのエピソードなどあれば、より覚えてもらいやすいものです。そして、どんなにユニークな社名を付けても仕事の内容が伴わなければ意味を成しません。

また、社員が会社にロイヤリティを持ち、一体化が図れているかどうかも社員さんに「なぜ、その社名なのですか?」と尋ねた際に、その由来をしっかり応えられれば、経営も非常に上手くいっていると思います。

そして、歴史を重ねていくと、長い社名の会社は、ドンドン短くなっていきます。
例えば、長谷部・竹腰建築事務所⇒日本建設産業株式会社⇒日建設計工務株式会社⇒株式会社日建設計、その他にも、久米建築事務所⇒株式会社久米設計、株式会社山下寿郎設計事務所⇒株式会社山下設計、合資会社梓建築事務所⇒株式会社梓設計と変更されています。

このように、社名は登記した後からでも変更はできますが、指名入札やいろいろな登録を全てやり直すことになれば、面倒なので、なかなか変更し難いものです。

お客様と末永く付き合っていただく社名ですから自社らしいものにしたいですね。

子どもの名前と同じように考えて、大切に産み、育てて欲しいと思います。

ということは、社名は、付けるのではなく、付けてもらった方が良いということです。

そして、成長し、社名を変更しても良いと思います。